AIや機械学習の導入は、多くの企業にとって課題となっています。機械学習を導入して事業の効率化・最適化を行いたいけれど、実際にどうすればいいのか分からないというケースも多いです。
そこで、近年注目されているのが、機械学習の自動化を行う「AutoML」です。本記事ではAutoMLの概要や仕組み、解決できる課題、メリットなどを紹介します。実際に提供されているサービスも紹介します。機械学習の導入を検討している場合にはぜひ参考にしてみてください。
【目次】
・AutoMLとは
・AutoMLの仕組み
・AutoMLが注目されている理由
・AutoMLが解決できる課題
- データサイエンティストの関与が減らせる
- 機械学習を自動化できる
- 素早くモデルを作成できる
・AutoMLの課題
・AutoMLを提供している企業・サービス
- Google:AutoML Table
- IBM:Auto AI
- Microsoft:Azure Machine Learning
- Amazon:SageMaker AutoPilot
- Sony:Prediction One
- H2O.ai:H2O Driverless AI
- 株式会社MatrixFlow:MatrixFlow
- DataRobot, Inc.:DataRobot
- Nanonets
・まとめ
AutoMLとは
AutoMLとは「Automated Machine Learning」の略称で、日本語では「自動化された機械学習」という意味です。言葉通り機械学習のモデル設計や基礎構築の部分を、自動化できる機能を持つのがAutoMLです。
機械学習の作成ステップを簡略化できるため、最短数十分から数時間でAIおよび機械学習のシステムが完成します。いつでも素早く機械学習の作成が行える「ショートカット機能」のようなものになり、今世界中でその利便性が認知されつつあります。
AutoMLの仕組み
AutoMLは、機械学習の作成に必要なプロセスを省略できる機能が備わっています。通常機械学習の作成プロセスには、問題や仮説の定義→データ収集→データ加工→特徴量設計→機械学習モデルの生成→モデルの運用といった、複数のステップを踏む必要があります。
そのため多くの時間と労力がかかり、専門知識も必要とされるのが一般的です。
しかし、AutoMLを活用すれば、「データの加工〜モデル設計」までの部分をすべて自動化できます。機械学習システムの作成におけるプロセスを、大きく簡略化することが可能なのです。
AutoMLが注目されている理由
AutoMLが注目されているのは、その実用性の高さが理由として挙げられます。機械学習の作成ステップを自動化できるため、誰でも簡単にAI・機械学習の導入を実現できるのがメリットです。
AutoMLの利用自体も簡単であるため、スムーズに業務効率化などの目的達成を進められるでしょう。
AutoMLが解決できる課題
AutoMLの導入は、事業におけるさまざまな課題の解決につながります。以下からは、AutoMLの導入によってどのような課題を解決できるのかを解説します。
データサイエンティストの関与が減らせる
AIおよび機械学習の作成には、データサイエンティストが必要不可欠でした。
しかし、AutoMLを導入することで、モデルの作成や評価の部分においてはデータサイエンティストなどの専門職でなくても対応が可能となります。
一方で、AutoMLに関する専門的な内容については、現在に至ってもデータサイエンティストが必要です。
あくまでも、AutoMLは、データサイエンティストの関与を減らして負担を軽減できるサービスであることを把握しておきましょう。
機械学習を自動化できる
AutoMLの導入は、AIや機械学習の作成を自動化できる点が大きな魅力です。これまでのAI作成では、すべてのステップを手作業で行う必要があったため、専門知識を持つ人材が必要でした。
コストがかかることはもちろん、誰でも自由にシステムの改修ができなかったため、柔軟な対応が難しい点が課題だったのです。一方で、AutoMLを導入すれば、データ加工、特徴量設計、機械学習モデルの生成に関しては、手作業で行う必要がなくなります。
自動化によって作業量が減少し、アウトプット量を格段に増やせる点もAutoMLのメリットです。
素早くモデルを作成できる
これまでのAI・機械学習の作成時には、煩雑かつ長いステップを踏む必要がありました。AutoMLなら最終モデル作成までの工数を大幅に削減できるため、素早くモデルを作成が完了できます。
さらにAutoMLはノンコードで利用できるため、従来の環境では考えられない精度で実用化が可能です。
AutoMLの課題
AutoMLは便利なシステムですが、いくつかの課題も抱えています。例えば、AutoMLは作成プロセスを自動化してしまうため、その内容がブラックボックス化しやすいです。
そのため機械学習の作成方法を勉強したいときなどには、上手に活用できないでしょう。
また、AutoML自体は、計算を自動化するだけのシステムに過ぎません。問題を解決できるかどうかは、人間の手による事前の課題設定とそれに応じたデータの準備が必要です。
AutoMLを提供している企業・サービス
AutoMLの機能を、サービスとして提供している企業は多数あります。以下からは、各企業が提供するAutoMLの特徴や魅力について解説します。
Google:AutoML Table
Googleが提供する「AutoML Table」は、AutoMLのなかでもっとも知名度が高いサービスです。数値や文字列などのデータを自動的に整形し、問題があればその都度抽出して対処が可能となっています。
ほかのツールと比較すると利用時の難易度は高くなりますが、最新の技術が組み込みやすいツールであるため高度なシステムを実現しやすいです。
IBM:Auto AI
IBMが提供する「Auto AI」は、データ抽出や加工に強いAuto MLとなっています。自動的にデータを準備してアルゴリズムを適用できるため、専門知識がなくても機械学習における最適なモデル作成が可能です。
Microsoft:Azure Machine Learning
Microsoftも、AutoMLサービス「Azure Machine Learning」を提供しています。総合クラウドサービスである「Azure」の一部として活用できる機能であり、各社のAutoMLと同様に抽出やデータ整形などが利用可能です。
Amazon:SageMaker AutoPilot
大手ネットショップのAmazonも、「SageMaker AutoPilot」というAutoMLを提供しています。
ノンコードによる設定はできませんが、「Note Book」と呼ばれる機能を使うことで細かな指示を出しながら作成が可能です。Note Bookに関する解説も豊富なため迷ったときにも対処がしやすく、長所であるカスタマイズ性の高さを活かせます。
Sony:Prediction One
Sonyも「Prediction One」と呼ばれるAutoMLを提供し、多くの企業のサポートを行なっています。Prediction Oneは直感的に使えるAutoMLとして有名で、自社データを活用した予測や自動抽出などの機能がシンプルな形で搭載されています。
特に売上予測、不良品判別、社員の能力分析などに使いやすく、各用途に対して効果的な成果を提供してくれるでしょう。
H2O.ai:H2O Driverless AI
2012年に創設された実績を持つH2O.aiは、「H2O Driverless AI」というAutoMLを提供しています。「Dell Technologies」と連動性が高い点が特徴で、DellのPCを利用している場合には使いやすい環境構築が可能です。
株式会社MatrixFlow:MatrixFlow
1,000社以上に導入されている実績を持つAutoMLとして、「MatrixFlow」の導入もおすすめです。直感的に使用できる機能性や、データ予測と自動抽出を得意とする点が使いやすさを際立たせています。
DataRobot, Inc.:DataRobot
DataRobot, Inc.の「DataRobot」は、アコム、ANA、Calbeeといった100社以上の有名企業に導入されているAutoMLです。データの異常を感知する機能が特徴で、正確なデータ活用による分析などが得意分野となっています。
Nanonets
Nanonetsは、シンプルな機能が備わっているAutoMLとして広く活用されています。画像認証やオブジェクト分類など、画像に関する機能に強い点が特徴です。
まとめ
機械学習の作成プロセスを自動化するAutoMLは、多くの企業で役立てられるポテンシャルを持っています。AutoMLを活用することでスムーズに機械学習のメリットを取り入れられるため、この機会にその特徴や各社の提供するサービスを比較してみてはいかがでしょうか。
機械学習システムを導入するのなら、次世代のAutoMLとも言われる「AI Decisioning」に基づいて開発された"DAVinCI LABS" の利用もおすすめです。DAVinCI LABSは分析の専門家ではない一般のビジネスユーザーでも、高度なAI分析を簡単に行えるシステムとなっています。また、従来のAutoMLでは実現できなかった戦略のシミュレーションなどの意思決定を支える高度な分析機能を備えています。
従来の機械学習が得意とする傾向分析や将来予測に加えて、施策の最適化を支援できる新たな機能が追加されているため、ぜひDAVinCI LABSの導入も検討してみてください。
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