AIは近年、私たちの生活に馴染みはじめています。しかし、言葉だけは知っていても「実際にAIで何ができるのか分からない」という方も多いかもしれません。
本記事では、AIができること・できないことを解説し、具体的な活用事例を解説します。ぜひ参考にしてみてください。
【目次】
・AIの概要
・AIができることとは
- 画像処理
- 言語処理
- 音声処理
- 単純作業
- 推論
- システム制御
・AIにできないことや苦手なこととは
- 人の感情を判断すること
- クリエイティブな作業
- ノイズの多いデータを管理すること
・AIのシンギュラリティとは
・AIの活用事例
- 介護ロボットの制御
- 農業や酪農
- 商品の検品
- 医療
・AIが抱えている課題
- フレキシブルな対応が難しい
- 正しいデータが必要
- 道徳的に動けない
・まとめ
AIの概要
AIとは「Artificial Intelligence」の略称で、日本語では「人工知能技術」のことを指します。
具体的には人工的に人間の脳に近い知能を作りあげる技術、もしくはその研究そのものを意味し、これまでの機械ではできなかった複雑な作業や判断能力を与えることが可能であることが特徴です。
近年はさまざまなジャンルや技術に特化したAIが発明され、その種類は増加傾向にあります。
現代のAI技術には「できること」「できないこと」が明確にあるため、次にAIができること、できないことを詳しく解説します。
AIができることとは
近年、様々なビジネス領域でAIが導入され、活用の場が広がっています。ここでは、AIができることについて詳しく解説します。
画像処理
画像処理とは、表示された画像を認識するシステムを指します。AIは表示された画像を認識し、その内容を読み取ることができます。形などの特徴を画像から読み取って情報を抽出し、過去のデータと照らし合わせて該当するものを検索して処理が可能です。
一般生活では「Google画像検索」が分かりやすい例として挙げられ、近年は顔認証システムなどにも利用されています。
言語処理
言語処とは、会話に応じて適切な回答をするシステムです。人間が日常的に使用する言語を認識させ、その内容に合わせた処理もAIができることのひとつです。現代ではユーザーとの問答をプログラムして、店舗での接客を行うロボットも増えています。
また、ロボットがクイズを出して、選択肢のなかから人間が回答を話して、正誤を発表するといったゲームも、AIの言語処理技術によって可能となっています。
音声処理
AIにおける音声処理とは、人が発生した言語を認識してテキストにするシステムです。
言葉だけでテキストデータを保存できるため、将来の学習システムへの発展などに期待されています。
現代でも音声処理を使ってプログラムを始動させる「スマートスピーカー」が人気となり、言葉だけで情報検索や家電の操作などが可能です。
単純作業
AIがもっとも得意とする分野が、単純作業です。
同様の計算や入力を繰り返す作業のほか、データ分析などでAIの単純作業機能が役立てられています。
製造や物流の現場において実用化されていて、人間の作業負担を減らしてその分のリソースを別の業務にあてるといった方法が取られています。
推論
推論とは、AIが過去のデータを参考に内容を予測して実行する機能です。ディープラーニング(深層学習)と呼ばれる技術の発展によって推論の分野は大きく向上し、将棋(AlphaGo)やチェスなどの試合でAIが使用されて話題となりました。
近年ではAIが棋士に勝てるほど技術が上がっているため、今後の精度向上にも期待されています。
システム制御
AIは蓄積されたデータを活用して、最適な機械のシステム制御を行えるのも特徴です。システム制御では、データを理解しながら最適な機械の制御を行うシステムを指します。例えばエネルギーシステムを制御する「強化学習」によって、空調などの電力使用を最適化してコストを下げるなどの効果に期待できます。
昨今開発が進んでいる車の自動運転にも、AIのシステム制御が活用されています。
AIにできないことや苦手なこととは
AIはできることが多い一方で、現代の技術ではまだできないことも多々あります。
以下からは、現代のAIではできないことについて解説します。
人の感情を判断すること
現代のAIでは、人の感情を理解・判断することはまだできません。そのため相手の気持ちに合わせて言葉を選んだり、コミュニケーションの方法を変えたりといったことは難しいです。
現代AIはシステム自体が感情を持たないため、空気を読んで会話処理をする場面では活用できません。
クリエイティブな作業
AIは作曲や創作など、芸術作品の制作などは基本的にできません。蓄積されたデータが存在しない状態で、0からオリジナルの何かを制作することは苦手です。
過去のデータを参考に芸術作品を制作するAIはありますが、あくまで過去の作品を模倣したコピーに近いものに過ぎません。今まで人間が創作したことのないものは、AIの力だけで作り上げることは難しいでしょう。
ノイズの多いデータを管理すること
AIは正常かつ正しいデータがなければ、分析作業などが行えません。例えば、定型文になっている文章に対しては反応ができますが、個性的な文章には対応ができないのです。
AIのシンギュラリティとは
AIに関する問題のひとつとして、「シンギュラリティ」があります。シンギュラリティとは、人工知能の能力が人間を上回ってしまう技術的特異点のことです。
現在の予測では2045年頃にシンギュラリティが到来するとされていて、AIが人間の脳と同様に動けるレベルにまで達する可能性があります。シンギュラリティ後の世界で、社会がどのように回るのかは正確に予想できません。しかし、単純にAI技術が飛躍的に高まることから、単純作業の仕事はロボットに代替される可能性が懸念されています。
AIの活用事例
AIは既に多くの業界や職種で活用されており、さまざまな事例が報告されています。今後AIの導入を検討しているのなら、以下の事例を参考にどのようにその技術が活用されているのかチェックしてみましょう。
介護ロボットの制御
AIを導入したロボットは、介護の現場で実用化されています。ロボットに搭載したAIセンサーによって、患者との距離を測ることや、対象物の重さや脆さを感知することが可能です。ロボットであれば重い物も簡単に持ち上げられるため、重労働の現場である介護職にAIは適任となるでしょう。
農業や酪農
農業や酪農の現場でも、AIを搭載したロボットの活用事例が多いです。例えば、宮崎県のアグリスト株式会社は、自動収穫ロボットを開発して農業における単純作業の簡略化を目指しています。
そのほか、酪農の現場では牛や豚の個体識別や、生体情報の詳細把握における自動化にAI技術が活用されています。
商品の検品
AIの画像認識機能や異常検知機能などを応用して、商品の検品にも利用されています。人間の目では見逃してしまう不良品を、正確に検出するために活用されているのです。
作業効率の向上のほか、コスト削減にもつながると評判となっています。
医療
AIができることの範囲には、人の命を守る医療分野も含まれています。例えば、東大医科学研究所は、医療現場にAIの「IBM Watson」を導入して、白血病診断を10分で完了させた実績があります。
将来的にはAIによって医療業務が効率化することや、新しい治療法を生み出すことに期待ができるでしょう。
AIが抱えている課題
多くのメリットと期待を抱えているAI技術ですが、解決しなければならない課題もいくつかあります。
フレキシブルな対応が難しい
AIには、柔軟性のあるフレキシブルな対応が難しいという課題があります。基本的に最初に設計された処理以外の対応はできないため、イレギュラーが起きた場合には人間によるカバーが必要です。
プログラミングがすべての機能を動かす基礎となるため、AIの設計段階で予め用途を指定して、ある程度の柔軟性を持たせることが必要とされるでしょう。
正しいデータが必要
AIの機能を活かすには、正しいデータが必要です。データに不正確なノイズが含まれていると、情報を使った作業や処理に問題が発生する可能性が高くなります。
また、そもそもデータがなければ作業や処理ができないという点も、AIが抱える課題のひとつです。
道徳的に動けない
現代のAIは、道徳的な判断や行動が行えない点も課題となっています。人の感情や心を理解した上での作業ができないため、倫理的に不道徳な対応になってしまうケースも多いです。
今後はディープラーニングなどを活用して、いかにAIと人の心を通わせるかが焦点となるでしょう。
まとめ
AIにはできることがたくさんあり、既に多くの業界でその特徴が活かされています。AIにできないこともまだまだありますが、その将来性には今後も多くの業界が注目することになるでしょう。
この機会に現代のAIができること、できないことを確認し、自社での活用方法を考案してみてはいかがでしょうか。
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